地球の問題も実は簡単な物理学

 一見複雑に見える地球の動きや問題も、最近の学問の進歩によって、私たちには何だか中学生の頃に学んだ理科の実験を見るような気がします。

●プレート運動がつくり出した大陸

 最近の地球の動きは、プレートテクニクス理論によって説明されています。1年に数センチといえども、大陸が動いていると考えるのは本当に不思議な気がしますが、ホットミルクを入れたコップを考えてみれば、それと全く変わらない状況であるとすぐに気がつきます。表面に浮かぶミルクの薄皮が対流によって動く様を考えてみればよいわけです。
 それが地球の起伏をつくり、地震の発生の大きな源になっていることを考えれば、複雑に見える地球の動きも比較的単純に見えてきますよね。

■地球の海底地形と地震発生状況

 そのような力がこの大陸を長い年月の間に動かし、現在の大陸の配置をつくっていると考えるのだということのようです。また、地震活動の殆どがそうした動きに起因すると考えれば、全てが飲み込めたような気がします。
 しかしそれらの動きはせいぜい年間数センチの世界なのですが、現在、問題とされている地球の温暖化は、この大地が、年間30km程度赤道に向かって移動しているのと同様だと言われています。

●「宇宙船地球号」は大気と水の収支がバランスがとれて成り立っている

 地球のことを宇宙船地球号と呼んだアメリカの構造建築家がいます。ディズニーワールドなどでお馴染みの球形ドームを発案した人です。
 このような呼び方は、地球の環境が適切にバランスしていることによって、私たち生命が存在していることを改めて考えさせてくれます。
 その主要素である水と大気は下記のようなバランスであるということになっています。全て地球全体としては収支がとれている筈なのですが、現在、それが急速にバランスを崩し始めているというわけです。それが地球環境の問題というわけです。ただそのあり方が異なっているだけの話しです。

 現在、こうしたバランスを崩していくものとして、特に指摘されているものに次のようなものがあります。これらはすべて地球全体では収支がとれているものですが、そのあり方が異なっているだけの話しなのです。その原因は人類の活動にあることは明らかです。

  • 地球の大気を危うくするもの→炭酸ガスの増加(温室効果)、オゾン層の破壊等
  • 地球の水を危うくするもの→酸性雨、砂漠化、温暖化による海面の上昇

 この中で最近よく指摘されているものに、炭酸ガスの急増を主因とする地球の温暖化による海面の上昇等の影響が挙げられます。現在、南極に蓄えられている氷はその厚さが2万mに達するということですが(本当かな?すごいな)、これが融ければ海面は百数十m〜2百m近く上昇するということになります。その時には現在の東京はもちろん海中です。
#もっともそれ以前に、太平洋の国々やオランダ等多くの国々が消滅するわけですが....。

 さらに、温暖化は南極の氷だけでなく、永久凍土と呼ばれているツンドラ地帯を溶かしていきます。ここは、今でも氷づけのマンモスが出るほど有機質を豊かに含む地域です。これらが融け出すことにより、また莫大な炭酸ガスを放出していくということになります。
#永久凍土は温暖化の時限爆弾と言われているのだそうです。

 しかも、重要なのは、こうした変化は、徐々に穏やかに起きるのではなく、歴史上初めてといったような急激な気象変動を伴いながら起きるということになります。「東京が南国になったらトロピカルフルーツをふんだんに食べられて嬉しいな!」といった問題ではないわけです。

●バランスを崩すもの:人口の爆発、エネルギーと資源の大量消費

 私たち、人類は農業革命・工業革命を経て脱工業化社会に向かっていると言われていますが、その中で急速に一方向に進んでいることがあります。誰もが知っていることですが、人口の爆発的増加とエネルギー・資源消費量の増大です。しかもこの動きは加速度的に進行しています。
 人口では、1995年の国連白書では57.5億人の世界人口が、30年後には82億人に達すると言われています。最近では、50年後には2倍弱になるという予測もあります。その大半が、現在開発途上国といわれているところで起きる爆発的増加なのです。
 エネルギーも、身近な例を挙げると日本の電力需要はこの10年間で3倍になっているといいます。

 特にエネルギーで重要なのは、すべて何十億年もかかって蓄積されてきた化石燃料であるということです。そうしたエネルギー・資源を現在、私たちはせいぜいこの数十年で消費し、回収不能なまで地球上に撒き散らかしてしまおうとしているわけです。
 こうした技術を私たちは「技術発展」と呼び、それによって、現在の幸せを謳歌しているというわけです。

 限られた地球環境で生きるということを認識するとき、何を最重要な価値におくべきか、改めて考えてみることが必要になってくることでしょう。

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