2000年2月号: インタラクティブまちづくり



 2000年がスタートしてそろそろ2カ月が過ぎようとしています。
 マクロ的には景気は上向き傾向にあるという話しもありますが、私たちの周辺ではとてもそんな話しを信用する人はいません。
 私たちの業界では、その性質上役所からの仕事が殆どなのですが、現在、役所の財政は最悪だと言うことを皆さんご存じでしょうか?(これ以上書くと、腹立たしいやら情けないやら...そんな話しばかりになってしまうので、これはここでやめておきましょう(^_^;))

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 先日、有楽町マリオン朝日ホールにて「インタラクティブまちづくり」セミナーがありました。久しぶりにそういった類のものに出席してみましたが、予想に反して多くの知人に会えて嬉しく思いました。

 セミナーの内容は、「ポートランド・メトロにおける住民参加方式」についての報告とそこで使用している「GIS(地理情報システム)」の紹介です。詳しい話しは省略しますが、要は、ポートランド・メトロにおける住民参加方式がいかにまちの活性化に寄与するものであったか、そこでのGISがいかに有益なものであったかということです。
 私の感想は次のようなものでした。
1)コンサルタントとしてみれば、住民参加にための環境が、いかにわが国と違っているか
 逆に、
2)GISといかにもシステマティックに活用しているかといっても、私たちが現在行っていることとそう異なっているわけではない

ア)住民への対応の環境が大いに異なる。

 住民といってもそれぞれ意識の違いがあり、参加意欲も異なっているわけですが、その違いを階層的に捉え、それぞれに適切に対応していく姿勢は、あたりまえのことなんですが、比較的新しい視点として関心を持ちました。しかし、それにしてもわが国の住民参加の一般的方法は、あまりにお粗末です。
 ワークショップ、懇談会、詳細な記録、まちづくりニュース、インターネット等々、決まり切っているがあまり効果の見られない方法を展開するのは、わが国の住民参加方式の定番ですが、それすら十分な費用が確保できないのです。かといって新しい展開にはかならず費用がかかるもので、ビデオ作成・配布などといったことすらなかなかできません。 それにどうやら、わが国の住民参加は面倒なことをやることが好まれるらしいとおも思えてしまいます。
 もちろん住民参加で進めるべき課題・テーマによっての進め方の工夫等によって、多様な住民参加があって良いのですが、私には、アメリカ的なプラグマティックな方法はまだまだわが国には馴染んでくれそうもないように思っています。それは、住民参加方式でまちづくりを進めようとする人々及びそれに参加する人々の意識・経験・学習等、全てがわが国においてはまだ途上にあると思うからです。
 住民参加によるまちづくりのプロセスにおいて、時折見られる様々な「きしみ」は、いずれ落ちついていくと思われますが、特に今後の住民参加のまちづくりにおいて、ますます重要な役割を果たすことになる役所の方々には、
・テーマに応じた進め方
・対象となる人々に応じた進め方
・住民参加方式そのものの市民への理解のされ方の段階 等
を十分理解した上で、進め方を考えていただきたいものです。

イ)GISの技術はそう驚くにあたらない。

 アメリカの場合には地図情報の整備が進んでおり、比較的容易に分析作業やプレゼンテーションに活用できる環境になっているとは言えても、アメリカ的にプラグマティックに処理する方法が、即日本に適用可能かどうかは疑問があります。日本には日本の方法があっても良いのではないでしょうか。
 現在の日本では、公図すら地形図と整合が図られていません。計画的なまちづくりを進めるには基礎的な条件すら不十分なのです。GIS=統合化された地理情報システムだとすれば、地図情報の体系的な整備を図ろうとしても、膨大な金が継続的にかかるというだけでなく、その効果には大いに疑問が残るのです。理想は理想で結構ですが、地図情報そのものはすでにいろいろなものができているのにそれらの統合化が図られないのは各社の利権が邪魔しているからです。そんな状態の中で、行政の限られた財源の中でGIS整備を図ろうとするのはあまりにも現実離れのように思われます。
 私たち、日常業務の中でコンピュータを大いに活用していますが、それは決して巨大なシステムを構築しているわけではないのです。ただ、あらゆる場面で、コンピュータの効果を最大限に生かしうる環境をつくっているだけなのです。ですから、そうした日常業務で作成しているデータは、ポートランド・メトロで見たようなGISでなくても、それに類似した活用の仕方は今すぐにでも可能だというのが、実感でした。問題は、そうした作業を展開する求める発注者がいて、そうした費用を見てもらえるかどうか、ということだけなのです。
 しかし、現実はなかなかそうではありません。せめて、今後GISを進めようとする人々が、本当にその意味・効果を理解しないまま、業者の言いなりになって進めはじめ、結果的に、公共財産であるべきそうした情報が特定の企業に占有されてしまい、まちづくり業務が、まちづくりのノウハウによってではなく、GIS技術を持っているかどうかということで、特定の企業に集中したりしないよう期待したいものです。

平成12年2月12日

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