2000年8月号:最近の仕事



 今年の仕事も大分出そろってきました。
 しかし、あまり楽しい話ばかりではありません。今回は、最近の仕事の出方を書いてみましょう。
#皆さんは、こんな仕事の出方をどう思われるでしょうか?

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 別に、昔を懐かしむつもりはありませんが、どうも今の時代、私にはおかしいとしか思えません。

 最近の仕事は競争入札による仕事がやけに多くなってきました。しかも、仕事を進めるための企画書を提示していかないとなかなか入札に参加することすらできません。まあそれは良いのですが、

 競争入札は一般の皆さんには「正当な業者選定の手段」だと思われるかもしれません。確かに、仕事の仕様が決まっている場合にはそう言えましょうが、私たちの仕事は出来上がるべき仕事の内容が全く見えませんし、私たちが仕上げる成果品もあらかじめお見せできないという弱みがあります。
 そういう仕事が競争入札にかけられるとどうなるか?例えば、予算書で1000万円と示されている調査があったとします。今の競争入札では、落札額は多分600万円以下ということになるでしょう。1000万円が基準となって、そこからどれだけ落とせるかが、各社の勝負になるのです。先日は、大手と見られる会社が最低価格で落札しました。1000万円換算ですと540万円という価格です。その会社の従来のやり方からすれば、うち3〜4割を事務費として確保し、残りを個人でやっているような下請けに回すのでしょう。これならいくら安く請けても請けるだけその会社の儲けになるわけです。下請けに泣いてもらえばすむことですから....。

 もちろん、良質な仕事の成果などそのような仕組みから期待できるはずもありません。また、発注者側も恐らくあまり期待していないのでしょう。というのは、今の財政状況では、下手にまちづくりが動いてしまうと財政が圧迫されます。むしろゆっくり動かしていった方が財政的には助かるからです。
 その意味では、市民参加方式というのは仕事を進めたくない役所の体制にとっては便利なもんです。市民の意見を伺いながらゆっくりやっていけば良いのですから..。合意形成ができなければストップしていても誰も文句を言いませんから(でも、合意形成のためには誰が頑張れば良いのでしょうか?)...。

 これはかなり皮肉な言い方ですが、一面の真実であると、私は考えています。

 私が「おかしい」と言うのは、良い仕事、効率的な仕事をする発想がそこにはないことを言っているのです。
 結果的に、コンサルタントはお互いに首の締め合いをし、役所の方々の意気も失われている(というのも私の皮肉な見方でしょうか?)ように思われます。
 残念なことですが、「質」を求める時代にならない限り、この状況は変わることはないでしょう。

2000年(平成12年)9月12日 釜石への振り替え輸送のバスの中にて  

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