2003年1月:新たな覚悟


 経済環境の激変の中で、都市計画を取り巻く環境も大きく変わってきました。都市計画を担う人々も変化しつつあるように思います。

 私自身も、年齢を重ね、多少肩の荷も軽くなってきたので、これまでの遠慮を徐々に取り払い、都市計画的なものについて書いてみたいと思うようになりました。今月は、その最初のご挨拶でもあります。

 なお本稿は、新年のご挨拶とも重複します。

 

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  近年における経済環境の厳しさは、すでに定常的なものになりつつあります。とりわけ「都市計画」は主たる顧客が行政ですので、限られた財源の中でまず最初に財政支出から削られる定めにあるようです。恐らくその環境の厳しさは他の業界以上と思います。

 しかも、最近はこれに「社会の成熟化」とも言えそうな状況が加わりつつあります。私が感じるのは、特に成熟社会に向けての「社会システムの再構築」に係る事項です。
 一つは、ISOを始めとする各種の資格・審査システムや格付けシステムです。そうしたシステムの中で就業者を受け入れるだけでなく、わずかの条件の差により勝者と敗者の区別をしようとしているかのようです。そこでは「客観的な指標」を根拠にしようとしますが、それは単に組織の(資格保有者の)人数、形式的な仕事の流れ等のチェックだけであって、仕事の内容の評価ではないのです。
 また、もう一つ気づくのは、本業が停滞するにつれて増えてきた研究会・シンポジウムや、それを運営する団体です。私は、都市計画について言えばこうした動きを、あえて都市計画「業」と呼んでいます。本来の都市計画の仕事ではなく、「業」としての仕事を、生活の手段としているかのように見えるのです。こうした業務が増えるのも成熟社会なのでしょうか。

 いずれにしても、本業ではなく、周辺の業務が増え、それによってシステムを固定化しようとする動きが成熟社会の一面のように思えます。

 こうした動きに対して、二つの選択肢があるように思われます。
 一つは、組織を拡大し、成熟化の流れに乗って生きる方向。これは最も確実な方向ですが、現在及び今後の社会の中で、どこまで生きられるかは保証の限りではありません。というのは、すでに業務と委託費の適正な関係が破綻していると、私には思われるからです。
 他の一つは、これとは全く逆の方向です。仕事がすでにボランティア的なものになっているのですから、それに対応した仕事の仕方をするしかない、ということです。つまりもっと組織を身軽にして、柔軟に動ける体制を作るということです。私には、充実した仕事を可能にするためには、こうした方向しかないように思われます。

 当社がこれまで実施してきた業務は、都市計画専門に特化した仕事は極めて少なく、より幅広い視点から「都市の問題を分析し」、「課題を明確にし」、「対策を明らかにすること」であったと言っても過言ではありません。また、計画づくりのための仕事ではなく、「実施するための仕事」を主体としてきました。
 そうした当社の特徴を活かし、今後は、さらに「柔軟な体制で」「都市の問題を総合的に分析し」「実施のための計画・組織作りを含めた仕組みをつくっていくこと」に傾注していきたいと考えています。顧客は行政には限りません。他の業界との連携を図るとともに、民間企業にもより積極的なサービスの提供を図っていきたいと考えています。

 

 改めて皆様には、今後とも変わらぬご厚誼のほど、よろしくお願い申し上げます。
 また、新たにおつきあいいただく方々には、厳しさと寛容を持っておつき合いいただきたくお願い申し上げます。

 

   平成15年 元旦 

平澤 薫

 

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