2003年4月:新たな出発
情報技術の進歩は、私たちの仕事に大きな影響を及ぼしてきました。都市計画の仕事の過当競争、発注金額の低額化の嵐の中で、情報環境の急速な変化を考えると、少なくとも私の仕事環境で、「東京に会社を持つこと」がどれほどの意味があるのか、極めて疑問になってきてしまいました。
そこで、昨年末から考えていたことを思い切って実行に移すことにしました。仕事の拠点を居住地である横浜に移したのです。これが私の新たな出発です。
かって、「PDFの薦め」で書いていたような状況はすでに一般化しています。これまでなら、顔を突き合わせた打合せが必要な会議が、PDFデータを送信して、電話でやりとりするたけで仕事が進むような場面が多くなりました。良かれ悪しかれ、これが現実でしょう。
それは、データのPDF化技術のみならず、次のようなことが可能になっているからです。
- インターネットの高速化(短時間でのデータの送受信)
- メーリングリスト等、複数メンバーによる常時の連絡体制
- バーチャルディスクによる、複数メンバーのデータ共有
そして、私たちの仕事の環境も大きく変わっています。
- バブル経済が弾けて以後、それまでの情報(書籍等)の大半が役に立たなくなりました。
- 求められる情報の分野はより経済的価値に直結するものとなり、情報の迅速性も求められるようになりました。
- インターネットの巨大辞書化、多様なデータベース等により、情報価値そのものも相対的に低下しています。
- 今、求められているのは、「あふれる情報をいかに価値あるものに転換していくか」でしょう。
それができなければ、単に「報告書の作成屋」や、クライアントの「お手伝い屋」になるしかありません。
一方、インターネット関連サービスの進展は通信から金融・物流の方にも及んでおり、居ながらにして各種のサービスを受けられるようになっています。情報化は、あらゆるサービスを「個人化」するとともに、個人の「自立化」を促しています。
現在、私の活用してインターネット関連サービスだけでも下記のようなものがあります。
- 事務用品・電気用品等を中心とする買い物
- 郵便局、銀行振り込み
- 宅急便等の手配
- 鉄道切符・航空券等の手配
- 宿泊ホテルの手配
- ファックスのパソコンでの受信
また、居住地の近くも、よく探せば、東京のこれまでの環境より便利だったりするのです。とりわけコンビニが、各種サービスの窓口役を果たしていることは皆さんも良くご存じのことと思います。今は、次のような施設が至近距離にあります。
- コンビニ(ミニストップ歩1分、ファミリーマート歩2分、ローソン歩5分)
- 郵便局、銀行の近接性(歩3〜5分)
- コンピュータデータの出力センター(歩1分)
- 区民会館(図書館)・区役所等歩10分 等
こうした状況が、東京を離れる決心を後押ししてくれたのです。
個人的な理由として、仕事に縛られる時間やシステムの不経済さが次第に耐え難くなってきたということもあります。
# たとえば、毎日2時間の通勤時間だけではなく、会社と自宅での情報環境の二重装備等があります。後者はその維持だけでも結構負担になるものです。せっかくモバイル環境(どこにいても思い通りに仕事ができる環境)になってきたというのに、それを活用しないでこれまでの生活スタイルに縛られているのはとても残念です。
東京にいるからといって仕事が受けやすくなるわけではないのです。逆に、仕事の拠点を自宅の近くにしてしまえば、どこへでも自由に飛び出すことができるのではないでしょうか?
問題は、これで仕事ができるか、仕事を受けられるか?ということになるでしょう。
私自身、ジェネラリストの方向を目指していたものですから、もともと多方面の専門家とのつきあいの中で仕事をしてきました。
# 社内にそう多くの専門分野を抱えることはできませんので、自然にそうなったという面がありますが…。したがって、そうした人々と円滑な連携がとれさえすれば、より自由に仕事を進めていくことができると思えるようになったのです。
幸い、もう殆どの方々がコンピュータなしでは仕事が進められなくなっており、周辺条件も整ってきました。そうなると最も重要なのが、インターネットをどこまで活用できるか?ということになるでしょう。
そのため、ブロードバンド化はもちろん、これまでの会社のシステムはそのまま新拠点に移行です。また、私自身、「インテグレーター(全体の仕事を統合する役割を果たす)」としての方向を明確にすることにしました。
これは、私にとっては、「自治体中心からの脱却」でもあります。
近年の自治体からの仕事は、私の言う「地元主義(地元業者への限定発注)」、「入札主義(競争入札)」が大前提となっています。
私に言わせれば、外部から知恵を入れようとしない仕事であり、ただ安ければ良いという仕事が殆どになっているのです。こういう仕事は、あえて求める必要はないと考えるようになりました。一方では、今でも、特命発注で出していくれる仕事があります。発注金額の多寡は問題ではありません。また、大量に仕事をこなす必要はないのです。
私にとっては、「やりがいのある仕事こそが重要」なのです。
# だからこそ余計な経費を抑える必要があるのですが…。
つまり、私の今回の新たな出発は、組織維持のため、無理して仕事を受注し、無理して仕事をこなして行くのではなく、
必要とされる仕事に対して、十分な成果を出していくために、本当に必要な環境をつくるために、決意したものなのです。
皆さんには、ますますご理解とご協力をお願いすることになりましょうが…。
平成15年4月
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