1998年9月号:成果品とデータ




 夏の高校野球は、横浜高校の春夏連覇と松坂投手の話題で終了しました。久しぶりに面白い?大会だったと思います。
 世界に目を転ずれば、中国・長江沿岸の大水害や大使館爆破に対する報復爆撃の記事が私には気になります。

 本日は、先日直面したことですが、直接仕事に関係することでがっかりさせられることがあったので、その話題を一つ。皆さんにも考えていただきたいのです。

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 私のところでは報告書作成作業の殆どすべてをコンピュータ化しています。とりわけ、図面作成作業にはこれまで相当の技術を蓄積してきており、下手な印刷屋さんより技術は上ではないかと自負しているところです。
 つまり、私のところでは、調査が終了した段階で、すでに印刷直前の原稿ができあがっているような仕事の進め方をしているわけですが......。その中でも特に重要なのが図面作業なのです。

 図面というものは、様々な情報の蓄積です。そのため、私たちは調査地域について様々な情報を委託された調査だけのためではなく、委託先の地域情報として蓄積するよう努めています。そうすることによって、様々な分析やプレゼンテーションがより効果的に行えるようになるです。この数年、私のところではそうした技術を蓄積してきました。
 その技術は、一方では調査の省力化にも寄与してはいますが、それは単に省力化というより、美しいプレゼンテーションとクライアント(顧客)の注文に迅速に対応できることを最大の目的にしてのことなのです。それでなければ、無理して「技術の蓄積」や「データのインプット作業」などという余計な作業に力を注ぐ必要はありません。厳しい仕事環境の中でクライアントに少しでも評価してもらいたいと思えばこその努力なのです。

 私たちは、こうした調査の過程で造ってきたデータそのものは、委託された成果品の一部であると考えているわけではありません。むしろ私達が、今後の仕事の展開を有利にしていくための武器の一つとして考えているのです(そこは理解してくれなければ困ります)。

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 しかし、一方ではクライアントもパソコンを十分活用する環境になってきています。ですから、こうしたデータを入手すればいかようにもその後の内部作業に活かすことができます。特に印刷作業に関しては、そのままデータを使っての発注をすることができますし、パソコンに詳しい方がおられれば、次の発注を有利に展開できるかもしれません。
 先日、そこで調査の一部として、その図面データそのものを要求されることがありました。もちろん、契約書にそのことがうたわれているわけではありません(今後はそうしたことも明記されるようになるかもしれませんが。ただ、その場合にもどのようなデータが納品されるべきなのか明確ではなく、極めて不明朗な扱われ方をするに違いありませんが)。むしろ私たちは、本年度も継続する仕事として、成果品の印刷物へのとりまとめを含めて考えていたものでしたが、昨今の厳しい財政状況や自治体の単年度契約主義の中で(そう、クライアントとは自治体のことでした(^^;)、「本年度は、財政が厳しいので仕事の発注はできない。成果品のとりまとめ作業は内部で処理し印刷所へ印刷を頼むことになるので、これまでの調査で作成したコンピュータ・データを引き渡して欲しい。そのデータは昨年度の調査内容の中に当然含まれるものでしょうから....」

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 私としては契約書にうたわれている成果はすでに十二分のものを納品したつもりであり、それ以上の要請として考えたわけです。結果的にテキストデータは了承しました。すでにそういうケースも一般化していると考えたからです。しかし、図面データはお断りしました。もちろん、心の中には「データを出してあげて、今後の仕事の可能性を期待する方が、大人のやりとりだろう」という考え方があります。
 相手の方々がこちらの立場も十分理解してくれているのであれば、むしろ快くデータを出してあげることもできたかもしれません。しかし、自治体の常として、調査途中で人が代わりせっかく築き上げてきた信頼関係も失われ、単年度契約主義のためにその時々のご都合で契約条件が変わっていくような状況の中で当然であるかのように要求されて、情けない思いの中でそう判断したのでした。こんなことが今後の仕事に良い影響を及ぼす筈がありません。しかし、コンサルタントとしてのいささかのプライドを捨ててまでそうしたくなかったのです(これを読んで「あの事を言っているんだな」と思われた方がいたら、申し訳ありません。つまりデータを納入する、しない、という以上に、こだわる部分があったのです)。

 自治体の仕事は、今や契約金額が最大の問題になりつつあります。優れた成果を期待するとか、円滑に仕事を進めるというのは重要ではなくなっているように思われます。これから、ますますそういう傾向が強まっていくことでしょう。今後は、お互いに信頼しながら仕事ができるというのは、かなり限られた場面になるのかもしれませんね。残念なことですが、そうした覚悟を以てあたっていくことが必要とされる時代のようです。

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 そうした時代だからこそとも言えますが、クライアントとしてコンサルタントに仕事を発注される立場に立つ方々にお願いします。

 コンサルタントとして生きていこうと思っている方々は、少なくとも他の人々・組織より、優れた仕事をしたいと考えているものだと思います。クライアントとなる人々は、そういう意欲をうまく使って、厳しい要求を出して下さい。それに応えることこそがコンサルタントとしての生き甲斐でもあるのです。そして、できれば「言ったことをやってくれさえすればいいんだ」ではなく、「課題解決に向けてともに考え行動する協力者」として考えて欲しいのです(もちろん、相手の技術レベルの見極めは必要ですよ。大きな会社が必ずしも適切な人間を派遣してくれるわけではないことも知っていて下さいね)
 その方が、恐らくあなたが期待する最高の成果につながる筈です。もちろん私たちにとってもそれが最大の喜びでもあるわけなのですが...。

 

こんな本音を書いてはまずいかな、と思いつつ 98年 8月23日(日)

 


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